子どもが増えた!/湯浅誠、泉房穂

 

 

 内閣参与の貧困・困窮者支援チーム事務局長を務められた湯浅誠さんが、明石市長在任当時の泉房穂さんと、主に地方自治に関する有識者を交えて、明石市の子育て政策について語られた本です。

 

 参画されている方々が、元厚労事務次官として貧困支援なども手掛けられ、検察特捜部の冤罪事件の被害者としても知られる村木厚子さんだったり、元三重県知事の北川正恭氏、民間人から三鷹市長に慣れてた清原慶子氏など行政関係者や、人口動態の研究で知られる『里山資本主義』の藻谷浩介氏など錚々たる面々となっています。

 

  この本の出版の直前に泉氏が1回目の暴言事件を起こしたということで、湯浅氏はこの本を出版すべきか否か逡巡されたようなのですが、子育て政策の実績はゆるぎないものだということで、あえて出版に踏み切られたことを「はじめに」で吐露されています。

 

 泉さんの革新性というのは、子育て振興政策というのは、産業振興など他の税収向上策を講じた上で、その結果として税収が上がった時点で、コストとして取り組む自治体が多い中、子育て振興をアピールすることで子育て世帯の移住を促すことで、税収向上策とするということで、子育て振興策を「投資」策として取り組んだことだと言えそうです。

 

 明石市に土地の余裕がなく、企業誘致の余地があまりないというやむにやまれない事情があったとは言え、逆転の発想とも言える振興策は秀逸で、それでこそ暴言で出直し選挙に臨んだ際にも圧倒的な市民からの支持を得て再選することができたということなんでしょう。

 

 とはいうものの、ただ単に子育て政策で大きな成功を収めただけでは、そこまで一般的な支持は知名度を得ることができなったような気もしますし、暴言市長が子育て政策で支持されるというギャップがあったからこそ、昨今の泉氏の名声につながったような気もします…