少子化対策したら人も街も幸せになったって本当ですか?/泉房穂、ひろゆき

 

 

 手厚い子育て支援策で市民の絶大な支持を得つつも、度重なる暴言で惜しまれながら2023年4月の任期満了で明石市長を退任した泉房穂さんの明石市における施策を、あのひろゆきさんが尋ねるという異色のコラボをまとめた本です。

 

 明石市というと、泉市長の就任以降、着実に子育て支援の施策を充実させた結果、移住者が増え、税収も増えたということでかなりの活性を呈することになったということで、日本中の自治体のモデルケースとされているようで、ひいては国の少子化対策にも少なからぬ影響を与えているようです。

 

 従来、少子化対策というのは得票や利権につながりにくいということから、対策の必要性は認識する人はそれなりにありながらも、手を付けようとする政治家があまりに少なかったということを、泉元市長はこの本の中で指摘されています。

 

 しかも少子化対策のために別の予算を減らすことが、例えば高齢層や、公共事業に依存する企業など従来の保守政治家の票田ともいえる人の反発を招きかねないということでしたが、少子化を克服して子育て層がおカネを使えるようにすることで経済循環を活発にし、既得権益を享受してきた層の不満をかわすこともできてWin-Winの関係を築くことができたことで一定の成果を収めることができたということです。

 

 またそういう政策の原資を確保する過程において、市の行う施策のコスパということについても徹底して着目されており、重視されがちな災害対策についても影響範囲が限られているにも関わらず数十億もツッコむのはどうなん!?という泉元市長ならではのバランス感覚で、地方行政にありがちな「やった感」を満たす施策をよし、とするのではなく、費用対効果を重視する姿勢は注目すべきところだと言えそうです。

 

 今後はこういう施策を実行する政治家を支援するということなのですが、少しでも多くこういう利権に拘泥されない効果的な政治を遂行できる政治家を育ててもらえることを切に願います…