さらば、男性政治/三浦まり

 

 

 ジェンダーと政治の関連の研究を専門とされている方が日本政界のジェンダーギャップについて語られた本です。

 

 世界経済フォーラムが2005年から毎年発表しているジェンダーギャップ指数で2020年度版では122位と世界の底辺をさまよう日本ですが、その低迷の要因の大きな部分を政界における男女格差が占めているということで、政界におけるジェンダーギャップの現状とそれをもたらす要因について詳細に分析されています。

 

 ちょっと意外なのですが、この本で紹介されているところによると戦後女性に普通参政権が与えられた当初は、当時はジェンダーギャップ指数みたいなモノの発表はなかったものの、政界におけるジェンダーギャップの小ささは世界をリードするモノだったようですが、その後世界中の各国が政界におけるジェンダーギャップを埋める努力を継続的に実施してきたのに対し、日本ではその分野では無策だったが故に現在の体たらくとなったようで、割とジェンダー論については先進的だというイメージがあるフランスでも2000年代当初は日本の方が先行していたということです。

 

 多くの国において、政界では男性が多数を占めていたということもあって、何らかの配慮がなければ女性はいつまでもマイノリティとなってしまうということもあって、一定の割合の女性の候補者を立てるなどなど、クオーター制を導入して、ある程度強制的に女性の政治家を確保するような仕組みを導入されて、まがりなりにも割合が上がっていっているようです。

 

 日本の場合は特に男性陣は、育児や介護といったケアワークをほぼ「免除」されていることもあって、より積極的に女性の割合を増やすような施策を強力に推し進めていく必要があるワケですが、旧来的な考え方のジジイがハバを利かせていたり、ただでさえ自分のクビがかかった政策には敏感な議員が積極的にそういう施策に取り組むワケもなく、世界の潮流から取り残されていくことになったということのようです。

 

 そんな中で、経済も長期停滞の様相を呈する中で、何らかの起爆剤としての女性のパワーを活用するといった錦の御旗を掲げて乗り込んでくる新たな政治勢力みたいなのが出てこないですかねぇ…「政治家女子48党」みたいなイロモノじゃないところで…