サクッとわかるビジネス教養 中国近現代史/岡本隆司

 

 

 これまでこのブログでも『アドラー心理学』や『お金の基本』など、フレッシュなビジネスパーソンをターゲットにした『サクッとわかるビジネス教養』シリーズの1冊で中国近現代史を取り上げているということで手に取ってみました。

 

 『曾国藩』や『李鴻章』など清朝末期の偉人に関する著書を出版されている岡本隆司さんの監修というところが興味を引きますが、岡本さんによると昨今のビジネスパーソンにとって中国人の行動原理を知ることが不可欠であって、そのために近現代史の概要を知って、その行動の元となる考え方を知ろうという趣旨で作られたということです。

 

 アヘン戦争以降、現代の習近平政権の中国までが語られているのですが、アヘン戦争の敗戦以降、鄧小平の開放政策が成功を収めてGDP世界第二位になるまでの期間は中国史の中でも例外的な暗黒時代ということを日本人は忘れがちだということを暗喩されていて、基本的にそれ以外の期間では中国は世界最強の「オレ様」国家だということを思い出すことが重要のようです。

 

 それを支えた科挙が現代に至るまでその思考に大きな影響を及ぼしているという指摘は意外でしたが、共産党の官僚的な組織力というのはそういう積み上げがあったからこそ成り立っていることを思うと、ナットクさせられるところです。

 

 ただ、中国人というのは元々自由人的な側面が強く、圧迫を受けると反乱を起こすという繰り返しだったということですが、天安門事件以降、そういった反乱もなく30年以上の表面的には平穏な状態ですが、今後、経済の不調が長期化した場合に民衆がどう対峙するのかというところは注視する必要があるということで、今後の習近平政権の舵取りには薄氷を踏むような対応が待ち受けているようです。