キャリア弱者の成長戦略/間中健介

 

 

 この本の著者である間中さんは、キャリアの序盤で体調を崩されて、一時期派遣社員として仕事をされていましたが、その中でスキルを磨かれて米系のコンサルファームのコンサルタント電通子会社の正社員などを経て、内閣官房アベノミクスの政策立案などに携わられ、この本の著作時点(2022~23年)には大学で教鞭をとられるという異色のキャリア変遷を遂げられてきた方だということで、とてもキャリア弱者とは思えないのですが、やはり日本の雇用環境においてキャリア序盤で一旦離脱をされたということもあって、それなりに大変な時期があったということは、百歩譲って「キャリア弱者」だったということもあり、ご自身が取ってきたキャリア展開に向けた戦略を披瀝されています。

 

 そういうキャリアに関するアドバイスも手掛けられているということもあって、間中さんには周囲の方々からキャリアに関する相談を受けることも多いそうなのですが、その多くは、現状に何らかの不満を抱えていて、機会があればそこから抜け出したいという願望はあるモノの、何か行動を起こすことができないという感じみたいで、そんな中で行動するために必要なのは、自分が「失いたくないもの」を明確にするということのようです。

 

 その上で、自分の向かいたい方向性というモノを明確にする作業を行うとともに、自分の有形無形の「資産」の棚卸をし、向かいたい方向へたどり着くのに不足しているモノを明らかにし、それを補う作業をし続けるということに尽きるようです。

 

 そういうプロセスがなく、なんとなく転職したりしても、結局また「ここではないどこか」への憧憬にさいなまれるだけで、ひとつひとつ行きたい方向へ向かうための作業を積み上げていくしかないということで、ビジョンと行動を両立させていくしかないんでしょうね…