「アフロ記者」として名を馳せた元朝日新聞記者の稲垣さんによる「もうレシピ本はいらない」という名の、ある意味レシピ本です。
退職後のことを語られた『魂の退職』でも触れられていたのですが、稲垣さんご自身がバブル末期に社会人としてのキャリアを始められたということで、激務のご褒美という意味合いもあったのか、なかなか物質的に派手な生活をされていた時期もあったということですが、高松局への異動を期にそういった生活に一種のむなしさを感じられて、ひいては退職につながったということで、この本では退職後のかつてとは真逆の修行僧のような食生活について語られています。
食べることはお好きなようで、記者時代はグルメ的な食べ歩きも楽しまれて、ご自身で色んなスパイスや調理器具を買いそろえて自作もされていたということですが、退職後、コンロが一口しかない小さな家に引っ越すということで、ほとんどの調理器具類を処分されたということで、調味料は塩、味噌、しょうゆ、調理器具は鍋を2つほどに限定した中で、それでも
急激に修行僧のような食生活になったということにオドロキますが、昔グルメマンガのパイオニアとも言える『美味しんぼ』でも触れられていましたが、ごちそうというのは飽きやすく毎日は食べれなくて、結局はご飯と味噌汁にぬか漬けを添えて…みたいなシンプルな食生活に戻っていくということになったようです。
そういうシンプルな食生活になると、ご飯を炊いて、味噌汁は素材の味を活かせばダシも必要ないとなると、敢えてレシピ本をみるまでもないというのが、この本の趣旨のようです。
冷蔵庫もないということで自然のままの暮らしに近いワケですが、それでも野菜を天日干しするなどで、素材の自然な味を最大限に活かしたモノの味はちょっとしたごちそうよりもずっと味わい深いようで、ご自身で維持されているぬか床でつけられたぬか漬けを添えれば、炊飯器ではなく鍋で炊いたご飯のゼツミョーな甘味も相まって、絶品とも言えるモノのようです。
ワタクシ自身まだまだここまでの境地にはなれていませんが、近い将来の食生活のあるべき姿として参考にさせていただきたいところです。
