記者になりたい!/池上彰

 

記者になりたい! (新潮文庫)

記者になりたい! (新潮文庫)

  • 作者:彰, 池上
  • 発売日: 2008/08/28
  • メディア: 文庫
 

 

 池上さんが、少年期に読んだ本がキッカケで記者を志してから、NHKに入って記者として活躍をされたのち、様々なニュース番組でキャスターをされて、『こどもニュース』のキャスターを離れるのを機にNHKを退職して「記者」に戻るまでの半生を描かれた自伝的な著書です。

 

 『こどもニュース』のお父さん役のキャスターとして一世を風靡した池上さんですが、元々それ以前に担当された『ニュース845』でキャスターを担当されるようになったのも本人にとっては寝耳に水だったようで、その後もずっと記者に戻ることを希望されていたということなのですが、あまりに『こどもニュース』が成功してしまって、戻るに戻れなくなり、キャスターとしてのキャリアが記者としてのキャリアを上回るのを期に自身にケジメをつけるためにNHKを退社されたということです。

 

 アメリカなんかだとアンカーと言われるニュース番組のメインを張る人たちは記者上がりの人がほとんどで、記者として取材してこられた経験と、徐々にキャスターとしてのキャリアを積む中で、どのようにすれば視聴者に伝わるかということを蓄積して行った結果、イッパシのアンカーとして活躍されるということらしいのですが、池上さんのキャリアはまさにアメリカにおけるアンカーと重なります。

 

 ただメインを張っていたのが、どっちかというと隅っこ的な番組だったのと、本人が決してキャスターを希望されていなかったワケですが、そういう葛藤が”池上彰”を作ったのかと思うと、皮肉ですが我々見る側にとってはラッキーなことだったのかもしれませんね!?