くそじじいとくそばばあの日本史/大塚ひかり

 

 

 以前、『女系図で見る驚きの日本史』を紹介した、女性にまつわる日本史のトピックをコミカルに語られる大塚さんが、日本史上のシニアについて語られた本です。

 

 「くそじじい」と「くそばばあ」とタイトルには謳われていますが、ここでいう「くそ」は罵倒的な意味合いではなく、かつて「くそ」というのはプラスの意味も含まれていたそうで、どちらかというと「スーパー」なじじいとばばあについて語られた本です。

 

 かなり1970年代以前は平均寿命は60歳代くらいで、戦国時代は織田信長が本能寺で死地に臨んで舞った「敦盛」の「人間50年」という一説が知られるように、かなり近年まで平均寿命が50年を少し超えるくらいだったとされるにも関わらず、歴史上にはかなり高齢で活躍されていることが知られる偉人が居られますが、この本でもそういった人の活躍を紹介されています。

 

 冒頭の神武天皇の祖父とされる「海幸彦」の500数十年というのはあくまでも神話の世界のハナシだとは思うのですが、家康の参謀であった天海は100歳近くまで側近くで仕えたとされますが、仕え始めたのが80歳代だということですし、杉田玄白が『蘭学事始』を執筆したのも80歳代で、貝原益軒が庶民に養生を勧めた『養生訓』を書いたのも80歳代だということですし、この本では取り上げられてはいませんが、伊能忠敬は71歳まで日本中を歩いて地図を作っていたということで、一定長命の人はいたということです。

 

 平安時代には、藤原道長の妻である源倫子は40歳代でも20歳代の容色を誇り、40歳代でも出産を経験したということで、当時庶民だと老婆とも言える年代でなお、性愛の対象となりえたということです。

 

 こう見てみると、医療の進化というモノが平均寿命に及ぼした影響というのは間違いないんでしょうけど、平均寿命が50年と言われる中で、それほどの長命をするというのは、摂取する栄養の質が及ぼす影響の方が寿命に及ぼす影響は大きいのではないかと、この本を読んでいて強く感じました。