ムハマド・ユヌス氏が創設したグラミン銀行での取組がノーベル平和賞を受賞したことで一躍脚光を浴びたマイクロファイナンスについて語られた本です。
ユヌス氏が著書『貧困の無い世界を創る』で語られていたように、最貧困層、その中でも特に女性にファイナンスにアクセスできるようにすることで、その状況から脱却できる可能性が高まるということですが、この本では最貧困層を取り巻く状況と、そういった人々に向けたファイナンスについて語られています。
我々、先進国に住んでいるとファイナンスというか金融機関にフツーに何も考えずにアクセスしていますが、最貧困層に属する人々にとっては、そもそも身近に金融機関もないですし、先進諸国のように銀行口座を無料で開設・維持できるわけではないということで、いわゆる金融というのは周囲の人々との貸し借りに頼るしかないということで、そもそも周囲の人々もそれほどおカネを持っているワケではなく、なかなか満足できる量のおカネを調達するのは困難だということです。
そんな中で、最貧困層へのファイナンスの可能性を開いたキッカケがグラミン銀行での取組だということで、その後もかなりの発展を遂げたということですが、それでもくまなく最貧困層へのファイナンスを行き届かせるというまでには至らないものの、著者の慎さんなど最貧困層へ金融を届ける取組は徐々に広がっていっているということです。
当初のグラミン銀行による小グループでの相互信用に基づく貸し倒れの防止の仕組みも、規模を広げていこうとするとうまく機能しないケースが増えていったということで、マイクロファイナンスからマイクロクレジットへの進展や、フィンテックの進化を取り入れての拡充など、様々な取組みも進んでいるということです。
資本主義の限界が叫ばれる中、第三世界を資本主義に取り込んでいくことのギモンはあるかもしれませんが、とりあえず貧困状態から可能な限り多くの人を脱却させるという活動には大いなる意義があると思えますし、著者の慎さんたちの取組を陰ながら応援していきたいモノです。
