外国人が見た日本史/河合敦

 

外国人がみた日本史 (ベスト新書)

外国人がみた日本史 (ベスト新書)

 

 

 タイトルを見て、これは興味深いと思って思わず手に取ってみました。

 まだ「日本史」が存在しなかったであろう頃…中国史でいうと後漢とか魏の時代から現代に至るまでの外国での記録で紡いだ「日本史」です。

 実は隋の記録によると最初の遣隋使は小野妹子じゃなかったのではないかとか、徳川幕府の「鎖国」政策も外国から見るとそうは思われていなかったのではないか(最近は学校の授業でも「鎖国」という言い方はしないみたいですね…)とか、結構意外なことも数多く語られます。

 一番面白いのが情報量が急激に多くなる幕末のあたりなのですが、人々が裸同然で生活しているというところに「野蛮さ」を見た外国人がいる一方で、ペリー来航時に贈呈された蒸気機関車を1年後には同じようなモノを自力で作ったという技術力もあったということで、その辺りのギャップに戸惑ったところもあったようで、列強も中国で行ったような恫喝外交をためらった様子がうかがえます。

 印象的だったのがペリー来航時に、日本が文明世界の技術力を持てば強力なライバルとなりうるだろうといった趣旨の感想を漏らしたことが紹介されていることで、その後の発展をみるにつけ、慧眼としか言いようがありません。

 いや、これは着想の勝利と言うべき本ですね!