個人情報ダダ漏れです!/岡嶋裕史

 

個人情報ダダ漏れです! (光文社新書)

個人情報ダダ漏れです! (光文社新書)

 

 

 以前、『スマホを落としただけなのに』という、結構背筋が凍る思いをさせられる映画がありましたが、あそこまで極端な状況設定じゃなくても、常にスマホなどの情報機器を通じてネットとつながった人が大多数だという状況にある昨今では、ちょっとしたキッカケで自分の個人情報を知らぬ間に拡散させてしまい、悪用されてしまうリスクがあるということを紹介された本です。

 

 この本が出版されたのは2013年なので、情報技術のあまりに激しすぎる進化を思うと、多少古いと思える情報もあるのですが、概ね現時点でも通用する内容となっています。

 

 この本は読者からのいくつかの質問に答えるというカタチで構成されているのですが、最初のいくつかの質問が、会社のネットを私的な目的で使用した場合のことを書かれていて、ワタクシ自身が長らくIT関連の企業に勤めていて、ここ数年はセキュリティに関わる業務に従事しているので、今さらそんなことを注意しないといけないの!?と思えるようなトピックなんで、最初はちょっと肩透かし感がありまして、今さら会社でアダルトコンテンツを見る人なんていないでしょ、とは思うのですが、会社のPCでのあらゆる操作がくまなく記録されていて、何かあった時には確実にその行動がトレースされていることは肝に銘じておいた方がよいことを紹介されています。

 

 なによりも恐ろしいのは、あまりに便利になり過ぎたスマホ使用時の作法のことで、ついつい便利なんでID/パスワードやクレジットカードに関する情報を記憶させたままにして置いたりしがちですが、何の拍子でこれが全世界に拡散してしまいかねないリスクがあることは認識しておくべきかもしれません。

 

 ID/パスワードやクレジットカードなんかだと、ある程度セキュリティの意識が行き届く人も少なからずおられると思いますが、SNSの投稿、特に写真の投稿に潜むセキュリティリスクは、是非この本を読んで認識されて置いた方がよいかと思います。

 

 そこまで言われると怖くてネットが使えない…という向きもあるかと思いますが、その辺はあくまでも利便性とのバランスということで、どこまでリスクを取っているかということを常に意識しておくことだけでも、ある程度のセキュリティになるという側面もあるということですが、あまりに知らずに使っている人が多いことを思うと、そういう教育って、最早必須教育にすることを考えないといけないと強く感じさせられます。