未熟者/藤川球児

 

 

 2020年限りで惜しまれつつも引退した”火の玉ストレート”藤川球児さんの2009年出版の自伝的な著書です。

 

 2009年というとまだメジャーに行く前で、阪神一筋の頃だったのですが、元々は先発ピッチャーとしてプロのキャリアを始められたということなのですが、なかなか長いイニングを投げ切ることができず、とは言え短いイニングでの球のキレやパワーには際立ったモノがあったということで、次第にセットアッパーを任されるようになって頭角を現したということのようです。

 

 藤川投手がセットアッパーを勤め始めた頃は、まだまだそれほど専業のリリーバーは一般的なモノではなく、クローザーはともかく、明確にセットアッパーでこれだけ際立った成績を残したのは藤川さんが草分けとも言えそうで、そういう時代の転換点にあったからこそ藤川投手がタイガースの歴史に残る様な大投手となったんだろうし、当時の首脳陣の決断に感謝ですね!?

 

 それでも藤川投手自身、先発にはキャリアのかなり後期まで未練があったようで、この本でも言及されていますが、この本が出版された後、メジャーから四国アイランドリーグを経て、タイガースに復帰された時には先発を務めておられたのを記憶しています。

 

 ただ、藤川さんはかなり意気に感じるタイプのようで、ご自身先発として使って欲しいと思っていても、監督に求められると全力でセットアッパーやクローザーを務められていたということで、そういうプロとしての意識の高さこそ、これだけの成績を残してきた要因でしょうし、ファンに愛された秘訣だったのでしょう。

 

 引退後、監督への就任の希望を表明されていますが、いずれまた藤川さんの様なアツい選手を育てて欲しい所です。