常勝タイガースへの道/掛布雅之

 

 

 昨年、38年振りに日本シリーズを制し、日本一となった阪神タイガースですが、この本はセ・リーグ制覇直後に出版された、「ミスター・タイガース」掛布雅之さんが語る阪神タイガース優勝の秘訣から常勝軍団への進化について語られたモノです。

 

 阪神タイガースというと、なぜか優勝が単発で継続性がないのが気になるところで、掛布さんもそういうところについて語られていますが、これまでの優勝の時には1985年優勝時のバース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発の印象があまりに強烈だからか、打線が優位で3点取られても4点取る!といった大雑把な野球が偶然成功した、という印象があるのですが、実はその時も一定守備が機能してきたことに言及されています。

 

 ただ、2005年の岡田監督を擁しての優勝時には、ウィリアムス、藤川、久保田の通称JFKの必勝リレーで日本において終盤の継投を定着させたのが印象的であるように、次第に緻密な野球が根付いていったことが転換期だといえますが、翌年ジャイアンツに13ゲーム差をひっくり返されて岡田監督が引責辞任したことで一旦継続性が断ち切られ、その後迷走したのが残念だったということを振り返られているのが印象的です。

 

 そういう系譜を受けての今回の岡田監督による戴冠に至るワケですが、2005年同様試合終盤の継投がさらに充実しただけではなく、適材適所を意識した守備のコンバートや、出塁率を重視して四球を選ぶことを推奨するなど、機能的で精緻な試合運びが実現した結果だということです。

 

 懸念事項としては、岡田監督がそれほど長くは監督をしないと明言しているということで、後継者の育成が急務なワケですが、それも2005年優勝時のメンバーがスタッフとして昨年の優勝を支えたこともあり、また球界の知性派として知られる藤川球児鳥谷敬が監督候補として控えることから、黄金時代到来か!?というのもあながち贔屓の引き倒しだけではないような気もします。

 

 ただ、ガチの阪神ファンでないワタクシとしては、タマに勝つから盛り上がっていいんじゃないか!?とは思うんですけどね…(笑)