疫病の日本史/本郷和人、井沢元彦

 

 

 昨日に引き続き、昨今人気を博する日本史関連の書き手による「コロナ関連」の本です。

 

 ただ、こちらは流行りに乗った本にありがちな、とりあえず人気作家がトレンドに則った本を出してみて、ある程度タイトルにつられて買う人がいればOK!的な、編集主導のかなり安易な本です。

 

 最初の方こそ、コロナ感染拡大当初にiPS細胞の山中先生が提唱した「Xファクター」のひとつとして、「穢れ」を重んじる皇室の考え方の伝統に由来しているんじゃないか、という問題提起をされており、おおっ!と思わされるのですが、結局この本で言っているのはそれだけで、ペストが日本であまり広がらなかったことについて、問題的だけしておいて、あんまり深めずにお茶を濁す始末で、あとは周辺をウロウロしているだけで、天然痘で死んだ藤原四兄弟や、天然痘での死が疑われる孝明天皇、梅毒だったと言われる黒田官兵衛のことを、感染症とは関係の薄いことも含めてダラダラと繰り返し言っているだけで、金を出して買っていたら大暴れモンで、読んだ時間すら返してくれ!と言いたくなるほどのシロモノです…

 

 編集がこういう安易な仕事を垂れ流しているから、出版不況なんじゃないかと、改めて嘆かわしく感じた本でした。