子どもが育つ魔法の言葉/ドロシー・ロー・ノルト

 

 

 読書家としても知られるロンドン五輪ミドル級ボクシングの金メダリストであり、WBA世界ミドル級のチャンピオンである村田諒太さんが『Number』誌の書評の連載『王者の本棚』で取り上げられているのを見て、気になって手に取ってみました。

 

 この本、いわゆる”子育て本”としてはかなり古典とも言えるモノらしく、冒頭で紹介されている『子は親の鏡』という詩をベースに、それぞれのフレーズが意味するところを解説するようなカタチで構成されています。

 

 ワタクシの年代だと、割と口やかましく躾けられた子どもが多かったと思いますが、この本の影響もあったのか、アメリカ流のホメる子育て、みたいなのが日本でも段々とハバを利かせるようになってきたようですが、そういうのってつけ上げる子どもが出来上がるんじゃないかと思っていましたが、この本を読むと「ホメる」ことが必ずしも子供を増長させることにつながるワケではないことがよくわかります。

 

 逆に𠮟りつけてばかりだと、委縮してしまうというかイジけて育ってしまうという風に「ホメる子育て」礼賛者から言われますが、「ホメる子育て」といっても「しつけ」を放棄してしまうというワケではなく、ちゃんと子どもと向き合って、言うべきことはキチンと本人を尊重した上で、子どもの耳に届くようなカタチで伝えるということのようです。

 

 得てして、キビシく躾けるというと、時にはオトナが感情に任せて叱ってしまうというケースもあると思うのですが、そういう時にはあまり子どもがちゃんと自分の言っていることを理解しているかどうかにまで意識が行っていないことが多いと思います。

 

 それだと単に反発されてしまったり、委縮してしまったりして、結局は言っていることを理解してもらえないばかりか、卑屈なキャラになってしまうことにもなりかねません。

 

 そういうことを避けるためにも、子どもを、その歳なりの対応というのはあるとは思いますが、ひとりの個人として尊重した上で、ちゃんと「見ている」ことが重要なんだと思います。

 

 ちゃんと「見て」いれば、自然に子どもの成長をホメたいところが出てくるでしょうし、ひとりの個人として尊重されていることを感じれば、より成長が促され、その子の尊厳を育む上で重要な役割を果たすでしょうし、その子も周囲の人の尊厳を尊重するようになることでしょう…

 

 というと、オトナは聖人君子でなければならないようにも思えますが、時には短気を起こすこともあるにせよ、そういう時はちゃんと子どもの個を尊重して、自分の非を認められば、それはそれでいいようですよ!?