「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない/坪田信貴

 

 

 映画化もされた『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の出版で一世を風靡した「ビリギャル」指導の坪田信貴センセイによる子育て論です。

 

 最近著者ループしていたサッカー指導者の池上正さんの『伸ばしたいなら離れなさい』でも親は子どもの側にいるとついつい成長を妨げるようなことを言ってしまいがちだということを指摘されていましたが、坪田センセイも親が良かれと思ってしたしつけが子どもの可能性を阻害していることが多いということで、ついつい発してしまうそういうコトバを紹介されています。

 

 タイトルになっている『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』はよく日本人が子どもに言ってしまうことですが、海外ではそういう言い方じゃなくて、どうせ生きていく中で多かれ少なかれ「迷惑」をかけてしまうのは仕方がないので、「迷惑をかけるな」じゃなくて「困っている人がいたら助けてあげなさい」ということが多いようで、確かにその方が子どもの行動を制限することが少なくて済みそうですし、ソッチの方が他人を思いやる子どもを育てることにつながりそうです。

 

 ビリギャルを指導されていた際のエピソードにも言及されていて、偏差値30代だったさやかちゃんがヤル気になるために志望校を模索していた際に、イケメンの慶應ボーイがいる慶應を目指すよう促した際も、現在の成績がどうのこうのというよりも、何がさやかちゃんの成長にとって、やる気スイッチになるかということにフォーカスしたからこそ出てきた発想で、我々が子どもに言ってしまいがちな、今こんな成績だからこれ位の学校に…という「現実的」なアドバイスが子どもの可能性を阻害しかねないということです。

 

 ただ、骨の髄からそういう発想になってしまっている多くの日本人の親としては、なかなか坪田センセイのおっしゃるような声掛けをし続けるのはムズカしい気はしますが、心底子どもの可能性を信じて、徐々にこの本に書かれているような声掛けを意識して矯正して行かなくてはいけないようです…