甦る教室/菊池省三、吉崎エイジーニョ

 

 

 「学級崩壊立て直し請負人」と呼ばれ、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」などでも取り上げられた北九州の小学校教師菊池省三さんの著書です。

 

 ワタクシがこの本を手に取ったのは、共著者というか構成を担った吉崎エイジーニョさんが関わられているからで、『Number』誌の連載で『オレもサッカー「海外組」になるんだ!!! 』と題した連載で、実際にドイツの下部リーグでプレイする様子を紹介したものを楽しみにしており、その後も堪能な韓国語を活かしてサッカー韓国代表やK-POPに関する執筆をされています。

 

 で、菊池先生の取組なのですが、この本は元々2013年に出版された単行本が元になているのですが、割と子供に甘い親が増えたということもあり、特に低学年では席に黙って座っていられない生徒が増えたということで、なかなか学校の授業が成り立ちにくいところもあったようで、それが3、4年生といった年代まで続くような状況があったようです。

 

 菊池先生はその原因を父性の欠如だと指摘されているのですが、親や先生が担うべき3つの役割をMFC(Motherhood:母性、Fatherhood:父性、childhood:子ども)と分類されていて、子どもをかわいがる母性の部分や、子どもの視線で接する子どもの部分はあるのですが、父性を育った結果社会性が欠如した結果、教室での問題行動につながったという側面があるようです。

 

 菊池線はそういう父性の部分を強調して、生徒たちに社会性持たせるように接したと共に、意外とかわいがられている割にちゃんとホメられた子が少ないということで、日々の成長を促しながら、些細な成長であっても、以前より伸びた部分をキチンとホメることで、その子の人格を認め、成長を促すということをされていて、学級崩壊の状態を立て直していったということです。

 

 実は、更生を担ったエイジーニョさんは菊池さんの教え子なんだそうで、ご自身が菊池先生から受けた教育を踏まえて対談をされているのですが、この手の本にありがちな賞賛一辺倒にはなっておらず、菊池先生自身犯した失敗を振り返っておられ、それを教訓として改善して行ったということで、より信憑性がある気がします。

 

 かわいがるのと、子どもを尊重することに矛盾が発生する可能背があるということが、結構意外で、自分としてもムスメたちと接する時に気をつけないとなぁ、と思いますが、そういう家庭でできる「菊池メソッド」も紹介されていますよ!