ひらめきとイノベーションの授業/慎泰俊

 

 

 ベンチャーキャピタリスト的な仕事をされている方が紹介する「アイデアの出し方」についての本です。

 

 この本は基本的に中高生とか大学生とかかなり若い世代をターゲットにしていると思われるのですが、なぜそういう若い頃から「アイデアの出し方」を学んでおくことを勧められるのかということについて、新しいものを創り出す方にならずに、そういう人に使われる仕事をする立場になると、いつその仕事がITなどに代替されることになるかも知れないから、新しいものを創り出す立場になるために必須だからなんだそうです。

 

 この本が出版されたのが2013年で、まだそれほどAIの普及が進んでいなかったにも関わらず、そういう風潮を予言されていたかのようなことをおっしゃっておられるのが印象的で、さすがはベンチャーキャピタリストだなぁ、という気がします。

 

 「アイデアの出し方」というのは実は方法論的なモノがあって、ある程度トレーニングを積んでおくことで、スキルとして身に付けることができるものだとおっしゃられています。

 

 その方法論というのは突き詰めると、まずは「苦労する」ということで、目の前のことにこれでもかという程懸命に取り組むことだとおっしゃっておられて、とことんまで突き詰めたところで「ひらめき」が置き、それを「カタチにする」ということなんだそうです。

 

 その題材としては、自分に必要でしかも好きなことであればよりよいということで、好きで必要なことに必死に取組むことで、実現のために必要となることが「ひらめ」けるということで、かなり単純なことに聞こえてしまうのですが、結局はそういう風に単純化して考えることが近道なのかも知れません。

 

 これまでもこのブログで「ひらめき」に関する本をいくつか紹介してきましたが、古典とも言えるジェームス・W・ヤングの『アイデアのつくり方』にしても、加藤昌治さんの『考具』や渡辺健介さんの『世界一やさしい問題解決の授業』にしても、その方法論を骨太な論理で、かなり少ないページ数にも関わらずもれなくムダなく網羅されているのが印象的でしたが、この本も120ページ足らずの紙幅でコンパクトながらも言い切っておられる印象があり、「アイデアを出す」というのはやはりシンプルでなくてはならないんだということを改めて痛感させられます。