ロシアを決して信じるな/中村逸郎

 

 

 ロシアのウクライナ侵攻以降、毎日のようにメディアに登場されるようになって、かなり舌鋒鋭くロシアの批判を繰り返したからなのか、ロシア政府から入国禁止措置の”栄誉”に浴したことを乾杯で祝したとおっしゃられていたことが印象的なロシア研究家の中村逸郎さんによるロシア人論です。

 

 今このタイトルを見るとロシアの外交戦略についての本かと思いますが、この本が出版されたのはウクライナ侵攻前で、あくまでもロシア人のコミュニケーションスタイルに関する内容となっています。

 

 それで「決して信じるな」というのはどうなん!?という気はしますが、対ロシアのインテリジェンス活動で知られる”知の怪人”佐藤優さんの諸作や、ロシア語通訳の米原万里さんの諸作で、そういうコミュニケーションスタイルについて聞いたことがあるので、ああ、なるほどなぁ、という気がします。

 

 結構暗殺の危機に瀕するという物騒な側面も軽視できませんが、それ以外にも日本だとフツーに何の苦労もなくこなせる手続きを完遂するのも一苦労だということで、相当な覚悟が必要なようで、相当な必要性が無ければ気軽に旅行先としてロシアを選ぶというのはハードルが高そうです。

 

 ウブな日本人からすると、ダマそうとするところから入るコミュニケーションスタイルというのはなかなかなじみにくいところだと思いますし、仮にお互いの信頼を深めて親交を持ったとしてもあまりの”おせっかい”も辟易するところではありますし、あまりロシア人ということで一般化してステレオタイプで捉える危険性は認識しながらも、色んな意味でなかなか日本人にとってロシア人はつき合いにくい人たちなのかも知れません。