小学生から知っておきたいザ・外交 1巻/佐藤優

 

 

 あの”知の怪人”佐藤優さんが小学校5、6年生向けに外交がどんなモノかを紹介する本を書かれたということで、コワいモノ見たさ(笑)で手に取ってみました。

 

 小学生とか中学生向けの本って、かなり夾雑物を削ぎ落してコアの部分が露わになっていることが多いので、あるテーマの本質的なモノが何なのかを理解するのに役立つので時折手に取るのですが、それを紹介されるのがあの佐藤さんだと、より期待が高まります。

 

 佐藤さんはこの本で、制度的なモノや仕組み的なモノがどういうことなのかということよりも、本質的に外交というのはどういうモノなのか、小学生たちにとって実感しやすい外交に纏わるモノは何なのかということに重点を置かれているような気がします。

 

 ということで、小学校の高学年が関心を持つモノの中で、外国に纏わるモノを取り上げてそれがどのようにして届けられているのかとか、日本のモノが外国にどのようにもたらされているのかということを紹介されています。

 

 そういうことに重点を置かれているのは、やはり外国との相互理解というモノが外交の基礎であり、積極的に外国や外国人を理解しようとする姿勢をそれくらいの年代の子どもたちが持つようにすることが、今後の外交にとって好ましい影響をもたらすと信じられているからという気がします。

 

 ロシアのウクライナ侵攻で外交の限界みたいなものが取り沙汰されてはいますが、とはいってもいつまでも戦争を続けて行けるワケでもなく、対立した状態の中でも落としどころを見つけていくという意味では、それでも相手を理解して尊重してく必要があり、そのためのベースをそういう若い年代が意識して形成して行くというのは、相当重要なことなんでしょう…

 

 後進の教育に熱心な佐藤さんで、そういう主旨の著書も多いのですが、どちらかというとエリート層の教育に注力をしてるのかな!?と思いきや、こういう全体の底上げを図るような教育も手掛けられているということで、やはり巨人としかいいようのないバイタリティですね…