「おいしい」を経済に変えた男たち/加藤一隆

 

 

 外食産業の業界団体である日本フードサービス協会の立ち上げに尽力された方が、日本の外食産業の発展のマイルストーンともいえる画期的な貢献をした方々について語られた本です。

 

 この本で取り上げられているのは、吉野家の松田瑞穂さんだったり、ロイヤルの江頭匡一さん、モスバーガーの櫻田慧さん、サイゼリヤの正垣泰彦さんが取り上げられているのですが、これらの人々の画期的な”発明”により、日本の外食産業が独自の発展を遂げてきたことが分かります。

 

 吉野家の松田さんは単一メニューにフォーカスすることで「早い、うまい、安い」を実現したことで牛丼を国民食の一つに育て上げたことを紹介され、ロイヤルの江頭さんはセントラルキッチンの導入かつチェーンオペレーションの推進で均質なメニューをリーズナブルな価格で提供する仕組みを開発したことを紹介されています。

 

 そんな中で著者の加藤さんが現時点での外食産業の「完成形」だとされているのが正垣泰彦さんのサイゼリヤで、メニューの絞り込みやセントラルキッチンを取り込んで、先達の成功例を取り入れているのにとどまらず、店舗オペレーションの徹底したムダの排除や食材の自社調達を徹底することで、高品質と低価格という一見相反する要素の両立を実現しているということを詳細に紹介されています。

 

 昨今はこういった努力にも関わらず、低価格での提供を”デフレの元凶”と非難するエコノミストもいるようですが、オマエのゴタクなんかよりよっぽど世の中の役に立ってるわ!と言いたくなります。

 

 今後とも進化を続けて、安くておいしいモノを届けてもらいたいと、切に願います。