マスクをするサル/正高信男

 

 

 霊長類の研究家の方が、コロナ禍にともなうマスク装着をトリガーにして、霊長類の性愛について語られた本です。

 

 マスクと性愛と並べると違和感を感じる向きも、特に女性にとっては無いではないと思いますが、そもそも性器を隠すというのは人間特有の現象だということで、人類以外の霊長類は一般的にオスにアピールするために性器を露わにすることの方が多い(人類でも、一部そういう志向を持つ人もいるようですが…)ということで、そういう人類の性器を隠したがるという性向が、逆に隠されていることによってソソられるという、他の霊長類からすると、ちょっと異常な性向を生み出すことになったようで、男性はよく理解できると思うのですが、ちょっと隠されていた方が性的な興奮を掻き立てるという側面を指摘されています。

 

 そんな中でマスクをする生活が長くなって、性的な意味合いもある口をマスクを隠していることが常態となる中で、そのうち口を隠していることに性的な興奮を掻き立てられるような状況になるのかもしれない、ということを指摘されているところが興味深い所です。

 

 そういう性器を隠すという習慣は、人間の多くが一夫一妻制を取り入れることが契機となっているということのようで、不用意に性器を晒すことで性的な興奮を掻き立てることを避けるためのようですが、逆に隠すことによって性的な興奮を搔き立てるということだと、マスクの着用もさることながら、イスラム諸国の男性の性的な興奮ってどうなんだろう…という妙なギモンが湧いたりするところです。