いつか必ず死ぬのになぜ君は生きるのか/立花隆

 

 

 2021年4月に亡くなられた「知の巨人」立花隆さんが著書に残された記述について、人間が生きることの意味合いについて語られたことについて、没後にまとめられたモノになっています。

 

 立花さんの興味の範囲というのは、凡人の想像の範囲を遥かに超えるモノとなっているのですが、特に人類の生きる意義についての提言については数多く残されているということで、そういう趣旨に沿ったモノを、立花さんの遺志とは異なるモノとはいいながらも、かなり意義深いモノなのではないかと思えます。

 

 人類が、その体格の貧弱さに反して、これだけの繁栄を実現したというのは、我々に備わった「考える力」に帰することができるというのは、多くの人がナットクできるところだと思うのですが、その「考える力」というのが、生き残ったりとか、という自身が有利になるところだけではなく、パッと見、自分自身にとっては不利に見えることであっても、自分の周囲であったり、社会全体であったり、人類全体などといった大きな範疇での利益を考えた行動をできるようになったというのが、個体の大きさではハンディを負った中での繁栄を実現するにあたっての大きなアドバンテージをもたらす要因になったということ示唆されたモノが多く取り上げておられます。

 

 さらには、それぞれの個人がよりよく生きるための方法論についても語られているのですが、必ずしも目に見える利益につながらなくても、個々人がよりよく生きることで、何らかの社会的な利益をもたらすことはできるんじゃないか、というような発想の積み重ねが、人類や社会に大きな利益をもたらしたという側面はあるようで、今後ともそういう取組を続ける責任が、人類にはあるように思えます。