地図をトリガーにその背景のエピソードを語るという本で、実はシリーズ物らしく、その三部作の最終編で鉄道について語られています。
個人的に印象に残ったのは『第2章「鉄道」栄枯盛衰』で、かつては日本国中くまなく網の目のように張り巡らされていた鉄道網ですが、モータリゼーションの拡大によって地方の鉄道利用客が激減し、北海道なんかは幹線のみになった印象があります。
特に残念なのが、信州や北陸において新幹線の開業を期に在来線が第三セクターに移管されてしまい、信越本線や北陸本線といったかつての大動脈が寸断されてしまって見る影もありません。
まあ、第三セクターでも鉄道が残っているだけマシっていえばそうなのかもしれませんが、そういうところは得てして運賃も高く、そういう地域の人たちは最早ほとんど鉄道に依存していないんだなぁ、と思うと一抹の寂しさを覚えます。
そういう寂しいネタだけではなく、かつての植民地経営に鉄道が大きな役割と意義を担っていたことなど、様々な側面を地図上から読み取られていて、ディープな「鉄」だと既知のモノが少なくなかったりするのですが、軽く鉄道に興味にある人にとっては小ネタ満載で楽しいかもしれません。