メガバンク銀行員ぐだぐだ日記/目黒冬弥

 

 

 メガバンクの現役行員がその内幕と悲哀を綴った本です。

 

 ワタクシが就活をしていたバブル経済末期は、銀行と言えば就職先としてはトップレベルの花形で、どうやらこの本の著者も同年代だということで、かなりデキた人だったんでしょうけど、入行したF銀行がD銀行、N銀行と合併してM銀行になったということもあって、結構ワリを食った部分もありそうです。

 

 冒頭で、合併してM銀行発足時、その後も何度も繰り返してその度に業務改善命令を食らいながら懲りることなく現在に至るまで断続的に発生させている大規模システムトラブルの第一弾における対応の悲哀を紹介されていて、数十日間もロクに寝ることもできずに対応を強いられたことを紹介されています。

 

 また、奥様の出産直前に遠隔地への転勤を申し渡され、子どもが生まれるところを見ることもなく、即時の赴任を強いられるとか、残業を規制されたらオフィスは占めざるを得ないので、隣接するガレージでの業務を強いられるなど、おおよそ行員の人格を顧みない勤務形態には驚くばかりです。

 

 一番のオドロキは、支店長お気に入りのエース行員が著者の印章を持ち出して書類の改ざんを図った件で、著者が監視カメラ映像の記録を突き付けて糾弾したところ、支店長を取り込んで証拠映像の隠滅をして、逆に著者が更迭されるハメになるというエピソードです。

 

 銀行という高度にコンプライアンスが求められるはずの業態で、こんなことが横行しているかと思うと、ちょっとおカネを預けるのに躊躇してしまいそうですが、こういう姿勢を根本的に払しょくしないと、銀行という業態も長くないんじゃないかと、改めて痛感させられるモノでした…