22世紀の民主主義/成田悠輔

 

 

 〇型と口型の左右でカタチの異なるメガネが印象的で、最近時折メディアにも登場して、「高齢者は集団自決」みたいな炎上案件をシレッとやらかしてしまう成田悠輔さんが語る近未来の民主主義です。

 

 最近資本主義の限界みたいなことが言われますが、そもそも平等を標榜する民主主義とWinner Takes Allみたいなところのある資本主義とは著しく相性が悪いモノで、比較対象の社会主義が運用のマズさで自爆したこともあって一時的にうまくいっているように見えましたが、状況の変化が速すぎる現代においては、政策実行に一定のコンセンサスを必要とする民主主義では対応が後手に回りがちなのは、西欧諸国が押しなべてコロナ禍の対応が、専制主義的な国家よりマズかったことにも表れていると言います。

 

 そんな中で民意を忠実に反映するための方策として、データ民主主義を提唱されているのがこの本で、従来投票による選挙で民意を反映しようとしてきた仕組みをセンサーやビッグデータなどで「民意」を自動的に収集して、ある程度忠実にその意向に沿った政策をデザインすることで、選挙などで自党に都合の悪い政策を隠した上で議席を取って、政権を取った途端国民が望んでもいない政策をシレッと実行するといった矛盾がなくなり、イッシューとして取り上げられていない細かいニーズも反映できるというメリットもあるようです。

 

 あまりに空想的なモノに思えますが、どこかの国の首相のように国民の声を聞こうともしない政権が延々と続くことを思えば、なんて素晴らしい!と思ってしまいます…