戦後日本政治史/境家史郎

 

 

 敗戦から第二次安倍内閣までをカバーした日本政治の変遷を追った本です。

 

 ワタクシ、実は中学生くらいの頃から結構政治に興味があって戸川猪佐武さんの『小説吉田学校』や大下英治さんの日本政治に関する諸作を読み漁ってきたので、正直この本の内容というのは、上記小説がカバーしている範囲については、ほぼほぼ馴染みのある所でしたし、それ以降についてはリアルタイムで見てきているので、正直あまり発見みたいなものはありませんでした。

 

 ただ、民社党社民連新自由クラブとか、そういうのあったよなぁ…と懐かしく思い返していたのですが、細川内閣や民主党政権などホンの一時期政権を離れた時期はあったモノの、結局55年体制と言われる高度経済成長期を実現させた自民党の事実上の政権独占といった時期が長く、一時期政権を担当した政党も国民を満足させるどころか、政権担当能力を疑問視されて、第二次安倍政権の長期独裁につながるといったカタチで、一見より自民党独裁が盤石になったようなような感すらあります。

 

 ただ、高度経済成長期の日本のビジネスモデルが制度疲労を露わにしているように、失点続きの岸田政権の拙劣さだけでなく、自民党の長期独裁が制度疲労を起こしていることは国民の多くが感じ取っていると思われます。

 

 どうもこの本の著者は、自民党寄りの姿勢が感じられて、あまり現時点での自民党の衰退については触れられてはいませんが、個人的には野党の政権担当能力の未熟さを危惧するよりも、自民党の増長による政権の私物化の方がずっとリスクが高いような気がさせられた次第でした。