カウンセラーはこんなセルフケアをやってきた/伊藤絵美

 

 

 30年以上心理カウンセラーとして活躍されている方が、ご自身のご経験を通してメンタルのセルフケアについて語られた本です。

 

 著者の伊藤さんは、かなりご両親の夫婦仲が悪い家庭に育って、お母様が長女である伊藤さんに依存していたということで、無意識のうちにメンタル的にかなりキビシい状況に置かれていたということもあって、ある意味心理カウンセラーとなられたのは天職というか必然的な導きがあったような気もします。

 

 当然カウンセラーになられる前は、心理的な状況について認識されていたワケではないのですが、後々振り返ってみると一定心理的なダメージを避けるような行動をとっていた部分もあるようで、そういう自衛の策みたいなモノを、後の理論的な裏付けも含めて語られているところが非常に有用です。

 

 そういうセルフケア的な部分について、カウンセリングの代表的なアプローチである認知行動療法スキーマ療法、マインドフルネス(って実は心理学的なトピックだったということを初めて知りました…)といった理論に基づいて語られるのですが、伊藤さんのように親から無形のプレッシャーを受けているというケースだけではなく、フツーに何か不満に思うことがあったら、誰も参照できないように設定したSNSのアカウントに書き散らすことで発散するといった、誰にでも実行できるセルフケアの手法も紹介されているので、かなり使えるモノが多く散りばめられております。

 

 カウンセリングというと色んな意味で結構ハードルが高いような気がしますが、実際にカウンセリングを受けるのではなく、カウンセリングの手法を用いてセルフケアをするというのは一定程度まではストレスがあってもやり過ごすことにつながりそうで、いろいろ参考にしたいところです。