定年後も働きたい/松本すみ子

 

 

 シニアの方に関する事業を手掛けるNPOの理事長の方が、定年後の働き方について指南された本です。

 

 老後のおカネの心配のこともあるでしょうし、生活のハリが欲しいとか、社会とのつながりを維持したいとか、動機はいろいろあるでしょうけど、リタイアを控えた方の大半は働き続けたいと思っているようで、この本ではリタイア後の就労について、様々な形態をチャート的に提示した上で、それぞれの働き方について詳しく紹介されています。

 

 最近は定年延長というか、再雇用制度に応じる人が多いようですが、再雇用になった途端、権限も責任も亡くなった挙句、収入も激減するということもあって、極端のモチベーションを下げる人が多いということで、そういう現象について、著者の松本さんは、あまり深くリタイア後のことを考えずに、なんとなく働き続けた方がいいだろうな、ということだけで再雇用に応じるケースが多いからだとおっしゃいます。

 

 確かに働き続けることで一定のハリは出るでしょうけど、不満を抱えたまま働いていると精神的に追い詰められることにもなりかねませんし、何よりもその齢になってまでイヤイヤ働くのも、本人のみならず雇う方や周囲も不幸なので、定年でリタイアするまで一定の余裕がある時点で、立ち止まって定年後に自分がどうしたいのかをしっかりと考えた上で、次にどうするかという準備を始めることが重要だとおっしゃいます。

 

 それが資格取得だったり、企業の準備だったりするワケですが、リタイア後の就労は何よりもナットク感が重要なようなので、よくココロに止めておくべきかもしれません。

 

 また、未だ事例がそれほど多くないからか、あまり他の本に触れられていないことで、女性が定年を迎えた際のことについて触れられていて、定年後のオジさんと比べて、比較的コミュニケーションやネットワーキングが得意に見える女性でも、定年後、オジさんたちと同じような虚無感に襲われることがあるようですので、オジさん同様、その後のことをしっかりと考えておいた方がよさそうです。