スタグフレーション/加谷珪一

 

 

 最近、結構頻繁にメディアでもお見掛けするようになった加谷さんが、昨今懸念されるスタグフレーションについて紹介された本です。

 

 スタグフレーションって、中学校の頃の公民の授業で「不況下のインフレ」ってことで習った記憶があって、そんなことが起こることがあるんだ…と思った記憶がありますが、当時はまさか日本がそんな状況になるとはツユほども思わず、どこかの途上国のことかと思っておりましたが、2022年出版のこの本では、本格的なスタグフレーションになるか否かの瀬戸際だとされていて、きっと一年以上経った現在は…(泣)

 

 単なるインフレでもかなり厄介なのですが、不況下に起こるインフレというのはかなり厄介なんだそうで、インフレの加速を抑制するような手を打とうとすれば不況に拍車がかかり、不景気の対策をしようとすればインフレが加速するということで、かなりビミョーな政策運営が求められるということです。

 

 しかも、現在の日本においては、円高が加速しつつあるとともに、長期にわたる超金融緩和策の継続によってマネーサプライがダブついている状態で、インフレ懸念があふれている状態であるにもかかわらず、国債の過剰発行でインフレ抑制のために長期金利を上げようとすれば、金利負担で国家財政がパンクしかねないということで、ただでさえ少ない打つべき手が、ほぼすべて打てない状況にあるということで、ただただ不況とインフレが進行するしかない可能性があるということです。

 

 一応、対抗手段も紹介されてはいるのですが、喫緊の必要が少ない保険の解約くらいしか打つ手もなさそうで、庶民の生活はサンドバック状態となりかねないということです…(号泣)