新型コロナワクチン本当の「真実」/宮坂昌之

 

 

 免疫学の専門家の方が語られるコロナワクチンの「実像」です。

 

 この本は2021年8月と感染拡大の真っただ中で出版されていて、玉石混交のアンチワクチンの情報も蔓延する中、一定の安心感をもたらす意図もあったのかもしれませんが、ワクチンの有効性をかなり高く評価するスタンスを取られています。

 

 元々、コロナ禍当初、有効なワクチンが実用に至るまでは少なくとも2,3年はかかるだろうという専門家の間でのコンセンサスがあったようですが、半年余りで実用にこぎつけた上に、実際の有効性においても9割以上の実績を収めたということで、専門家の間でもかなり驚きを以って受け止められたようです。

 

 コロナ感染の時期に、マスクなどのコロナ感染対策もあって、インフルエンザの感染が例年の9割減となったのに対して、コロナの感染拡大への対策としては効果が限られたように、当時のコロナ感染はすさまじい勢いだったということを指摘されているのですが、ワクチンの接種が拡大して一定の収束を見せたのと、感染拡大による集団免疫の獲得を意図してワクチン接種推進に消極的だった各国が感染抑制に失敗したこともあって、一定の効果は認められたとされています。

 

 また副反応については、アナフィラキシーショックなどの副反応も従来のワクチンとそれほど変わらないレベルだったということで、驚く米効果と比較して、かなり抑制されたモノだったと評価されています。

 

 ただ、コロナワクチンが遺伝子に働きかけるものだということで不安視されている長期的な副反応についてもかなり楽観的な見方をされているのが気になるところで、その後、コロナワクチンが起因とみられる帯状疱疹の拡大など、気になる症例も見られているところをどう評価されているのかは気になります。

 

 コロナ禍においては、メディアにおいて、やたらと悲観的だったり、ロクにウラもとらずにバズりやすい情報を安易に垂れ流して、その後相反する事象が明らかになっても訂正すらすることないメディアの姿勢をキビシく糾弾されているところが印象的ですが、旧ジャニーズに関する報道でも見られた手のひら返しはコロナ報道においても顕著だったようで、日本のメディアの信頼性の低さはここでも遺憾なく発揮されたようです。

 

 ちょっと楽観的過ぎる論調にちょっとモヤモヤしたところが無くはないのですが、2023年には一定の収束が見られるという予測もほぼほぼ見通し通りだということもあって、一定信用に足る内容なのかな!?という感じです。