世界インフレと戦争/中野剛志

 

 

 中野剛志さんがコロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻を受けての「グローバリズムの終焉」について語られます。

 

 元々、中野さんはグローバリズムの効用について懐疑的な立場を取られてきたワケですが、2022年のロシアのウクライナ侵攻を以って、グローバリズムの流れは一旦終焉したと断言されています。

 

 2008年のリーマン・ショック以降、かなり怪しげな感じだったのが、コロナ禍でかなり疑問が大きくなり、ウクライナ侵攻がグローバリズム終焉の決定打となったようですが、それ以前から中国の台頭やアメリカの影響力の低下もあって、終焉が間近だったようで、ウクライナ侵攻自体もアメリカによるNATO拡大というリベラル圏拡大の目論見が失敗した結果だと指摘されています。

 

 グローバリズムによるコスト低減競争が終焉を迎えた結果、エネルギー調達やウクライナが世界的産出国である小麦を始めとする食糧の調達が困難となる中、世界的なインフレを迎えることになったということです。

 

 エネルギー資源や食料価格の高騰によるインフレの発生ということで、世界的にスタグフレーションに入ったということを指摘されていますが、これまでの世界史上で4回の大きなインフレの流れを経験されているということを語られていますが、今回のウクライナ侵攻同様、インフレというモノが、紛争だったり革命だったりといった大きな社会変革が背景にあるということで、今回のインフレについては今後かなり長期間にわたる紛争の影響下にあることが想定されるということで「恒久戦時経済」ということを想定されていますが、執筆当時は影もカタチもなかったであろう、ハマスイスラエル攻撃を契機とした第五次中東戦争へともつながりかねない紛争も発生していることが、その予測の正しさを傍証しているようでもあり、今後、より世界的な分断が大きくなっていくような気がしますが、それがいいことなのか、どうなのか…