在日米軍基地/川名晋史

 

 

 アメリカの基地政策を研究されている方が在日米軍基地の沿革について紹介された本です。

 

 日本はアメリカの占領政策が奇跡的なまでにスムーズに進んだ数少ない国だということで、今や米軍が大規模に駐留しているのは韓国と日本だけとなったワケですが、準戦時下である韓国を別にすれば、なぜ日本にここまで米軍が駐留しているのかということについてのいろんな要素を紐解かれます。

 

 アメリカの側としては、かつては対ソ連、現在は対中国という戦略上のことだということはわかるのですが、日本がなぜ駐留を許しているのか、特に当時はそれなりのチカラがあった社会党を始めとする野党が黙っていたのかということについて、実はアメリカは国連軍というカタチで駐留をさせているということです。

 

 モチロン、政府はそういうレトリックは理解した上で駐留させているワケで、一時はタイ軍やオーストラリア軍の離脱が取りざたされて、名実ともにアメリカ軍となりそうになった際にも、英国の将校を無理やりに迎えてカタチを取り繕おうとするなど、偽善を続けてきたということです。

 

 きっと中国の台湾侵攻などがあっても、アメリカはそれほど熱心に日本をカバーしてくれることはなさそうですし、何ならもう1回トランプ大統領になって、在日米軍の引き上げが取りざたされたらのに…