金曜夜まで仕事のモチベが続く言葉/ぱやぱやくん

 

 

 元陸上自衛官で会社員を経て、現在はエッセイストとして執筆活動をされているという方が語る、仕事のモチベーションを維持するコツです。

 

 自衛官というと屈強な人を思い浮かべますが、この方、自称「意識低い系」で周りの屈強な人たちや任務に燃える人たちに劣等感を覚えつつ、それでもそういうネガティブな意識をやり過ごして、何とか任務をこなすコツを見出してこられて、そういうノウハウをSNSで公開されているウチに、それが評判となって執筆活動をされるようになったようです。

 

 割とミッションにマジメな方というのは、どっかでポキッとなってしまうということもあるように、実はどこか柳のようにプレッシャーをやり過ごしながら淡々とミッションをこなしていくのが最強なんじゃないかとは、ワタクシ自身は思うのですが、あまり肩ひじ張らずに仕事をこなしていく方向性を勧められているところに、今となってはそれほどゴリゴリと業務をこなそうとする機など皆無なワタクシなどは勇気づけられます。

 

 そもそも日本人の多くが満点主義でことさら失敗を恐れるからプレッシャーやストレスを過度に感じるのであり、人が死ななかったり会社がツブれるようなミスをしなければええんちゃうの!?くらいのキモチでいれば、リラックスして仕事に取り組めて、ひょっとしたらその方がパフォーマンスも上がるんじゃない!?ってくらいのつもりでいいんだよ!と言ってくれているようで、煮詰まっている人には勇気づけられるんじゃないかと思います。

 

 陸自で学んだことで、「始まれば終わったようなもの」というコトバを冒頭に紹介されているのですが、始まる前は、こんなことが起こったらどうしようとかいろいろ考えがちですが、始まってしまえば必死になって考えているヒマもなく気が付いたら終わってたという経験も多々あることでしょうし、まああんまり取り越し苦労もし過ぎない方がよさそうです…

みんなが幸せになる引き寄せの新法則/近藤純

 

 

 一世を風靡した「マーフィーの法則」以降、手を変えを変え、「潜在意識」や「引き寄せ」というのは自己啓発本の定番テーマであるワケですが、それだけそういう本が出るというのは、逆になかなか「潜在意識」に訴えかけて「引き寄せ」ることがうまくいかないことの証左でもあるということで、潜在意識ラボというコーチング的な事業を手掛けられている組織を主宰されている方が「正しい」引き寄せの方法論を紹介されています。

 

 端的に言えば、なぜ「引き寄せ」が上手くいかないかと言えば、「自分の願いだけを叶えようとしていた」のではないかと指摘されています。

 

 ということで、マズローの欲求5段階説の最上位に位置する自己欲求実現のさらに上位に「貢献欲求」というものがあるのではないか、とおっしゃられていて、他人のシアワセに貢献しようとすることが、回りまわって自身のシアワセにつながり自身の欲求を引き寄せることにつながるのではないかとおっしゃられています。

 

 なぜかというと、「引き寄せ」いうモノにはエネルギーが必要で、それが自身のエネルギーだけでは不足しがちで、周囲の人のシアワセを祈ることでシアワセになった人からのエネルギーの反射を受けることで自身が注いだエネルギーの何十倍ものエネルギーの反射を受けることで、より強いチカラでの「引き寄せ」が実現できるのではないか!?ということです。

 

 そのための第一歩として、知らない誰か…例えばコンビニで親切に対応してくれた店員さんとか…のシアワセを祈ることを習慣づけることで他人のシアワセに貢献するということを提唱されていて、そういう習慣をつけているウチに、他人のシアワセに貢献しようとガンバるようになり、ひいては自分を好きになったり、自分にシアワセが返ってくることで、元々の自分の願いの「引き寄せ」につながるということで、こういう利他的な考え方というのは、多くの人にとって受け入れやすいところでもあり、短期間でうまくいかないように見えたとしても、何か気分がいいように感じるはずで、長い目で見るとホントに「引き寄せ」られるんじゃないか、という気がします。

ウクライナ戦争の欺瞞/馬渕睦夫

 

 

 ウクライナ大使を務められた経験もあるという元外交官の方が語られるウクライナ侵攻も含めた「戦後民主主義の欺瞞」だということです。

 

 元ウクライナ大使だということもあって、ウクライナ侵攻のことが本のタイトルとなっていますが、ウクライナ侵攻自体が主要なテーマというワケではなく、ディープステート(DS)という「ウォール街やロンドン・シティに跋扈する国際金融勢力およびそのネットワーク」が国際社会を牛耳っている状況について語ることがメインテーマようです。

 

 陰謀論的な内容が多く、この本の中でも自説が「妄言」と言われることも多々あるようですが、さもありなんと思えるような、なかなかついていきにくい言説が多々あります。

 

 個人的には日本での報道のような、侵攻したロシアが完全な「悪」でウクライナは可哀そうな被害者で絶対的な「善」だという水戸黄門的な勧善懲悪的な報道にモヤモヤするモノを感じていたので、ウクライナ国内の腐敗などの指摘で、それ程単純なモノではないということはナットクなのですが、バイデン大統領のキーウ電撃訪問(この本の中では頑なにロシア語呼称の「キエフ」を使用されていますが…)が支援終了の通告だったと言及するなど、現在も戦争および支援が続く状況についてどう言及するんだろう…と思える指摘もありますし、DSが自分たちの利益を損なうということで、トランプ前大統領の再選を阻止したなど、???と思えるような指摘が多くみられます。

 

 さらには、そういうDSの暗躍に敢然と立ち向かったとされている安倍元首相の暗殺についても、山上被告の単独犯ではなく、DSが絡んだ組織テロだと指摘されていて、ケネディ大統領の暗殺に類似のケースだと指摘されていて、どうしても読み進めるほどに「妄言」という指摘がアタマをもたげます。

 

 DSが世界中で隠然たる影響力を行使しているのは認識していますが、個々の指摘においてさすがにムリがあるだろう!?と思えるモノが多く、かなりモヤモヤする内容の本でした。

 

産業医が診る働き方改革/産業医科大学編

 

 

 この本が出版されたのは2018年なので、コロナ禍を経てのリモートワーク推進などといった「働き方改革」ではなく(ワタクシ自身もソッチを期待して手に取ったのですが…)、産業医の方が日々の業務の中で、不具合を訴える方への仕事の取組み方のちょっとした改善を促すことで、症状の改善を図って継続して働けるようにする取り組みを紹介した本です。

 

 常時50人以上の人が従事する職場には産業医を置くことが義務付けられているということですが、割と片手間的にこなせる(失礼!)のかと思いきや、職場で起きうるあらゆる疾患について通暁しておかなくてはならないだけではなく、その職場の業務も把握して、職場で発生するケガや病気について、それを予防したりするために業務の改善の指導もミッションのうちだということでかなり責任も重大だということで、地味ながらもかなり大変な仕事なんだということを痛感させられる内容となっています。

 

 昨今はメンタル疾患の罹患も多いということで、その恐れがある人へのカウンセリングをこなされたりすることもあるようですし、ケガや病気を経た人の業務への復帰に向けての支援プログラムの策定だったり、職場環境の改善といったことにも参画されることもあるようです。

 

 また、粉塵など化学物質を扱う事業所や建築業など事故のリスクがある事業所などにおいては、事故を防止するような業務プロセス改善に意見具申をするといった事例も紹介されており、単なる医師の枠にはとどまらない幅広い知見が求められるようです。

 

 産業医の方に対する見た目がかなり変わること請け合いで、企業においてもこういう活動を十分に支援するようにしてもらいたいところです。

日本料理の贅沢/神田裕行

 

 

 2010年の出版当時は元麻布にあり2022年に虎ノ門ヒルズに移転し、現時点で13年連続でミシュランの三つ星を獲得し続けているという日本料理かんだのご主人が語る日本料理の”真髄”です。

 

 神田さんは徳島出身でご両親が鮮魚店から転換して料理屋を営んでおられたということもあって、かなり早いうちから料理への興味が深かったということですが、そのフランスでの修行なども経て日本料理の奥深さに改めて目覚め、徳島の名店青柳での修行も経て、元麻布での独立に至ったということです。

 

 独立当時、相当な期待があったようで、色々な誘いもあったようですが、全18席という割と小ぶりなお店でスタートされたのですが、その理由というのがご自身が一番おいしいと思えるサイズの魚でお造りを提供できるのが18人が限界だということで、お店の規模を決められたということで、そのこだわりの強さをうかがわせます。

 

 ただそれだけ強いこだわりを持ちながらも、原理的に”教条”を押し付けるワケではなく、お酒の頼み具合を見て、アテ的な料理を中心に提供するようにするなどお客さんの様子に合わせて提供する料理を変えるなど、柔軟に対応されているということで、そういうサービスも13年連続ミシュラン三ツ星の秘訣なのでしょう。

 

 フランスでのご経験もあってかなり柔軟に食材を取り入れたり、ワインを相当な種類備えたりと、幅広いキャパを見せながら、素材をおいしく食べてもらうための調理法などについては妥協のないこだわりを見せる姿勢に凄みを感じます。

 

 にもかかわらず、割とハードルが高いと思われる日本料理を家庭でも再現できるコツも紹介されているのもうれしいところです。

 

 この本を読んでいると、何としても「かんだ」で食べたい!と思う人が多いと思うのですが、調べてみるとコースだけで49,500円、サービス料が加わって、さらにお酒を飲むと…さすがにちょっとワタクシにはムリかも…

感動のメカニズム/前野隆司

 

 

 以前、『幸せのメカニズム』を紹介した「幸福学」の提唱者前野隆司さんが、今回は「感動のメカニズム」を紐解かれます。

 

 感動の多い人生は幸せであることが多く、一定以降の年代にとって感動し続けるということは老化を遅らせるということで非常に重視されているワケですが、『幸せのメカニズム』でも幸せの要素を4つの因子に分けて分析されていたように、この本では感動の要素を「感動のSTAR分析」として、

  ・SENSE(五感で感じて感動)

  ・THINK(「知見の拡大」に感動)

  ・ACT(「体験の拡大」に感動)

  ・RELATE(「関係性の拡大」に感動)

の4つの因子に分けて分析されています。

 

 最近は企業のPR活動においても「感動」を掻き立てることが重要視されているようですが、そういう活動について様々な業界において「感動のSTAR分析」を駆使した調査をされたことを紹介されていますが、必ずしも同じ業界だからと言って同じ因子が多いというワケではなさそうで、自動車業界の分析ではトヨタの活動にSENSE、THINKの要素が多く、ホンダの活動にACT、RELATEの要素が多いというのは、企業カラーを反映しているようで興味深いところです。

 

 ただ、基本的には同じ業界のPR活動においては、同じ要素を訴求することが多いようで、マクドナルドもモスバーガーもTHINKの要素が多かったということですが、マクドナルドが差別化としてSENSEの要素を取り入れたというのが興味深いところで、差別化の要素が製品やサービスだけではなく、PR活動においても激化しており、特に昨今重視される「感動」を訴求する活動においては、「感動のSTAR分析」を駆使したプランニングがかなり有用なようです。

 

 また、分析と大仰に構えなくても、そういう要素があるだな、ということを意識しておくだけで、個人の行動においてもそういうことを意識しておくことで周りの人に感動してもらうこともできるということで、シアワセをもたらすツールとしての活用も提唱されているところが、サスガは「幸せの伝道師」といったところです。

”人疲れ”が嫌いな脳/梶本修身

 

 

 東京疲労・睡眠クリニックの院長で、脳の疲労に関する専門家である方が、脳の疲労を避けるための人付きあいの在り方を紹介された本です。

 

 疲労というと、割と身体の疲労を思い浮かべがちですが、身体そのものが疲労困憊してしまうということは、昨今ほとんどあり得ないようで、人が感じる多くの疲労は脳の疲れだということで、さらにはその脳の疲れをもたらす最大の要因が人付き合いだということです。

 

 単純にイヤな人との付き合いだけが、疲れをもたらすワケではなく、自分では親友だと思っている人との関係性も実は大いに疲労をもたらしているケースも多々あるようで、人疲れとならないためには適切な距離感があるようです。

 

 若い女性にありがちな、やたらとベタベタした関係性も、かなり疲れをもたらすようで、時には一人になることも精神衛生上、かなり重要だということです。

 

 また、あまりなじみのない人と接するのもストレスですが、そういう場合は聞き役に回って、相手の話を聞いているウチに自分のスタンスを整えるといったことも可能なようですし、自分の話を聞いてくれる人には好意を抱く傾向が強いことを利用して、よい関係性を築きやすいというメリットもあるようです。

 

 なかなか人との良い距離感というのは難しいモノだとは思いますが、その一つのヒントとしてアタマの片隅においておけば、煮詰まることが少なくなるんじゃないかと思えます。