57歳で婚活したらすごかった/石神賢介

 

 

 先日紹介した楠木建さんの『絶対悲観主義』の中で触れられていて、結構興味をそそられたので手に取ってみました。

 

 著者の石神さんは32歳の時に離婚されて、50歳を目の前にもう一度結婚したくなって、その状況を『婚活したらすごかった (新潮新書)』で紹介されたのが話題になったようですが、再婚を果たさぬまま57歳になってからの婚活の状況を紹介したのが本書で、最後の1章にはコロナ禍に突入した折の婚活の状況にも触れられているところも興味深いですが、長いキャリアのライターさんが手掛けているだけあって、悲喜こもごものエピソードに引き込まれます。

 

 57歳という年齢のこともありますし、フリーライターというどちらかというと経済的に不安視をする向きもある職業柄もあり、不利な立場にありながらも果敢に様々な婚活に取組まれていて、婚活のキャリアを重ねて、それについての著書の出版などもあって、敗戦分析なども経て冷静に取組まれているという側面もあり、結局この本の執筆の時点では最終的な「結果」には結びついていないものの、かなり「深い」関係になったことにも触れられており、かなり健闘されています。

 

 ただ、それでも最終的な「結果」に至らないところについては、年齢を重ねたが故の柔軟性の欠如みたいなところに起因することが多々あるようで、意気投合して、ある程度好みにも合致しているにも関わらず、ふと目についたことが気になって、それくらい目をつぶったら…と思うようなことがトゲとなって、結局そこから先に進めなかったということが、相手からも石神さんご自身からも出てきており、そういう意味でもある程度年齢を重ねてからの婚活の難しさがあるんだなぁ、という気がします。

 

 また石神さん自身、ついつい女性の容姿にこだわってしまうという、オトコの哀しい性を引きずっておられることもあって、婚活に限ったことじゃないんでしょうけど、柔軟性を持ち続けることの重要さについて強く印象付けられた次第でした…