我が子の気持ちがわからない/河本敏浩

 

 

 医学部専門予備校を主宰され、長年予備校で受験指導を行いつつ、受験生の親子間の様々な相談に乗ってこられた方が、実際のケースを交えて子どもの問題行動につながる親の姿勢について紹介された本です。

 

 著者である河本さんが受験生の相談に乗る際には、「決してキレない、怒らない、叱らない」の三原則を宣言した上で、確実にその原則を順守された上で話をするそうですが、コジれた生徒がホンネを話し出すにはそれしかないようで、逆にそういう風にコジれてしまう生徒というのは、色んな意味でホンネを親に話せないほど抑圧されているということのようです。

 

 紹介されているケースの中では、親が自分の価値観を子どもに押し付けていたり、欠点をあげつらって叱ってばかりいたりすることが多く、そうなると子どもの自己肯定感が損なわれてしまって、自分を見失うことになってしまって、引きこもりや暴力などといった問題行動につながってしまうということです。

 

 また、受験指導で、進路を親の意向を押し付けることも、後々になってこんなはずじゃなかったということになって、子どものその後の人生に暗い影を落とすことが多く、決して子どもにとっていいことにならないということです。

 

 ということで、ただただ子どもをホメそやすということではなく、子どもが自己肯定感を持てるように、ホメるべきところはしっかりとホメて、子どもが何を望んでいるのかをちゃんと認識した上で、それが視野狭窄によるものなのであれば、問題点は指摘して、それでもそれを望むのであれば、子どもの意思を尊重すべきだということで、逆にちゃんと子どもの意思を尊重する姿勢を普段から見せていれば、プレーンに問題点を指摘するのであれば、ちゃんと子どもも聞く耳を持ってくれるはずだということのようです。

 

 昔と比べると親の意思を強く押し付けるというのは減っているのかな、とは思いますが、やはり子どもの人生は子どもののモノなので、親の望みはグッと抑えて自分で将来像を描けるように心がけたいところです…