突き抜けろ/三木谷浩史

 

 

 楽天グループの創業者である三木谷さんの評伝です。

 

 三木谷さんが監修ということになっていますが、上阪徹さんというライターの方が執筆されています。

 

 楽天を立ち上げられてからネットビジネスの巨大企業群を作り上げることになった現在までのあゆみを周囲の方々の証言を元に紐解いていくというカタチをとられています。

 

 割と世間的なイメージと異なることは少なく、こういう本の常道として三木谷さんの賞賛にあふれていて、あれだけのことを成し遂げた方なので、当然と言えば当然なのかもしれませんが、リーダーシップ、ビジョン、行動力、推進力、カリスマ性、知力、胆力などなど、おおよそ起業家に求められるあらゆる資質を兼ね備えている稀有な人物のようで、それだけの人でありながらもおごることがない気さくな人格も兼ね備えているということで、こんなに完全無欠な人間がいるものなんだ…と感嘆を超えて、呆れるほどの思いがします。

 

 特に周囲を巻き込んで共に目標に向かわせることが大きな特長と言えそうで、かなりキビシイ要求をされつつも、周囲の人が前のめりに三木谷さんが掲げた目標に向かって邁進していくエピソードが数多く紹介されており、三木谷さんの資質の中でもモチベーターとしての資質が、これだけの成功を収めることになった最大の要因のような気もしてきます。

 

 また、「常識」にとらわれない姿勢というのも印象的で、幹部職員がマーケットリサーチの結果を報告した際に、マーケットは既存のモノを分捕っていくのではなく、新たにマーケットを作り出すんだろ!?とゲキを飛ばしてダメ出しをするのが印象的で、そういう型破りのエピソードも満載です。

 

 サッカーも好きであるワタクシとしては、バルセロナのメインスポンサーになったことや、世界最高の選手の一人であるイニエスタヴィッセル神戸に連れてきたエピソードを非常に興味深く読みました。

 

 「日本を変える」ことミッションとされているという三木谷さんに現在の日本の閉塞感をブチ破る原動力となってくれることを期待してやみません!