世界史を変えたスパイたち/池上彰

 

 

 池上彰さんが第二次世界大戦前後以降の世界史上におけるスパイの暗躍の変遷を紹介された本です。

 

 基本的にスパイというのは闇の仕事を請け負う立場であり、粛々と仕事をこなしていれば、その仕事ぶりが世間に知られることはないはずで、この本で紹介されている名高るスパイもどこかで失敗をしてしまったから名を残すことになってしまったワケで、本人としては不本意かもしれませんが、語り継がれる「伝説」のスパイと言われる存在がいます。

 

 例えば、第二次世界大戦中前に暗躍し日本で逮捕されたソ連のスパイであるゾルゲは、それほどスパイに関心のない人でも聞いたことがあるかと思いますが、その活動により日本が英米と敵対することをいち早く察知したことで、ソ連がドイツとの戦いに向けて注力することができたという大きな「成果」をもたらしたワケです。

 

 まあ、「失敗談」ばかりが語られることになるので仕方がないのですが、冷戦中におけるアメリカのCIAとソ連KGBの暗闘ぶりはすさまじいと同時にかなり暴走気味なモノが多く紹介されており、CIAだったら、真珠湾ケネディの暗殺、9.11を察知できなかったことやKGBだったら国家崩壊の兆候を読み取れなかったことなど、ここまで大きすぎるポカを連発しても存続し続けているCIAは、それでも表ざたにならない大きな「功績」があるからなんでしょうねぇ…