泣きたい日の人生相談/岸見一郎

 

 

 アドラー心理学をベースにした『嫌われる勇気』で一世を風靡した岸見先生による「人生相談」です。

 

 元々、『嫌われる勇気』も若者が賢人に人生について質問するという設定だったということもあって、岸見先生への人生相談というのは多くの人が求めるモノだったんじゃないかとは思います。

 

 対人ストレスや恋愛など、ごくごくありがちな質問に応えられているワケですが、やはりさすがに内容としてはアドラー心理学をベースをしていることもあって、『嫌われる勇気』でもあったように、多少突き放したように思えるところもあるような気もしつつ、冒頭で連載をしていたクーリエ・ジャポン誌の編集長に「後ろ向きの人生論」と言われたことを自虐的に取り上げられていますが、岸見先生のお人柄からか、アドラー心理学の在り方なのか、やたらハデというか、カラ元気的な励ましをするワケでなく、自身の立脚点を確認した上で、どうすべきなのかという冷静な論調が、どの質問に対する回答にも通底しているように感じます。

 

 結局はこういう悩みの多くが、虚栄心というか、他人からどう見られるかということを気にしたが故のモノが多いのは冷静になればわかることなのですが、如何にそういうところから脱却して、自身の在り方をベースにしてコトへの処し方を考えることができるようになればいいということなんでしょうけど、なかなかねぇ…(笑)