買い負ける日本/坂口孝則

 

 

 最近、時折メディアでも企業経営に関して、お見かけるする坂口孝則さんですが、この本は元々の「本職」である企業の資材調達について、日本の没落の要因の一つとも思える調達でも諸外国の後手を踏みつつある状況について紹介された本です。

 

 グローバル化の進展により、資材調達が全世界的にフラット化される中、半導体を始めとする資材の取り合いが熾烈となっているということで、日本がかなり後手に回る場面が増えてきているということです。

 

 その要因として、モチロン日本経済の長期的な低迷を背景とした企業業績の没落の影響というモノもあるのですが、必ずしもそれだけではないようでこれまで垂直統合によるサプライチェーンの固定化に慣れていた日本企業が、グローバル化によっていきなり荒野に放り出された格好となっているという側面もあるようで、交渉力において鍛え抜かれた諸外国の企業に太刀打ちできないようです。

 

 それだけではなく、判断の遅さややたらと細かい仕様に固執するところや、過剰に品質を求めるなど、取引相手としてかなりメンドくさいということもあって、垂直統合の甘えを抱えたまま、従来であればその購買力によって大目に見てもらえたところが、丸腰のまま放り出された格好となっており、日本企業の多くが見捨てられつつあるということのようです。

 

 日本的経営と言えば、「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」という「三種の神器」が取りざたされますが、どうもそれだけではないようで、固定的なサプライチェーンで調達の効率化を図ってきたこともその要因の一つであったようで、それもグローバル化の波に飲み込まれて風前の灯火とも言えるようで、早急な対応が不可欠だということです。

 

 ということで、最終章で「買い負け」ないための12の提言をされているのですが、トップの交渉力の向上や柔軟な設計の導入など、なかなか日本企業が取り組むことが難しそうに思えるモノが多く、まだまだ痛い目に合わないと変われないんじゃないかなぁ、と暗いキモチにさせられた次第です…