自分の意見で生きていこう/ちきりん

 

 

 社会派ブロガーを自認されているちきりんさんは、これまでも興味深い著書を数多く出版されてきましたが、この本は『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』『自分の時間を取り戻そう』という自律的な個人の確立を促す一連の著作の完結編とも言えるモノだということをSNSを始めとするメディアで公言されており、これで著作活動を終えてもいいとまでおっしゃっていることも踏まえて、手に取ってみました。

 

 冒頭で、SNSにおいて多くの日本人が意見らしい意見を表明できなくなっていることに言及されているのですが、その原因について、日本の教育が過度に「正解」を求めるような方向性を指導していることで、本来人生において求められる問題解決においては、「正解」のない問題の解決を迫られることが多いのに、そういう「問題」への対応ができない体質になってしまっていることに求められるとおっしゃっておられます。

 

 欧米における教育では、かなり幼少期から自分の意見を形成することを主眼に置いた教育がなされるのに対し、日本においては社会人になってからも、年長者に対して意見を具申することが憚られるような空気が存在することもアリ、ある意味「考えない」ようにする姿勢が求められているような風潮すら感じられるということですが、そんなんじゃ、例えば自分が深刻な病気になった時に、治療の方針すら決められないことになってしまう恐れがあるということを指摘されています。

 

 しかもグローバリズムの進展で、欧米のビジネスパーソンと伍して仕事をして行かなければならないとなると、自分の意見を根拠も踏まえて語れるようにならないと、それこそ子ども以下の扱いを受けてしまう恐れもあるワケで、日本の教育が追い付かない中、そういうトレーニングを自身の主導で行わなければならないという危機感の中、この本を書かれたようです。

 

 少なくとも、自分が自分なりに考えて自分の意見を形成して行かなないと、なかなか周囲に認められにくい世の中が訪れようとしているということもあるようですが、自律的に自分の人生を切り開いていくような姿勢を身に付けることで、自信と誇りをもって人生を歩んで行けることを祈念されているようで、これで最後になってしまうと残念ではありますが、ちきりんさんのSwan Songとしてはステキな響きなんだと思えます…まあ、それでもまだまだ執筆を続けて欲しいんですけどね!?(笑)