不登校でも学べる/おおたとしまさ

 

 

 先日紹介した『学校に居場所がないと感じる人のための未来が変わる勉強法』で、不登校になったとしても学ぶことはやめないで欲しいということで、そのためのアプローチを紹介している本を取り上げましたが、この本では、不登校となった生徒さんたちが学ぶための受け皿となっている様々な形態の”学校”の取組について紹介されている本です。

 

 作者であるおおたとしまささんは、教育関連の著作を数多く出版されていて、以前取り上げた『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』の編集を手掛けるなど、子どもたちの学習への葛藤についても取り上げられています。

 

 出口治明さんや堀江貴文さんが著書で再三批判的に指摘されているように、そもそも日本の教育というのは、戦後以降現在に至るまで、大量生産型の企業で、与えられたタスクを淡々と効率よくこなす従順な人材を育成するようにデザインされていて、これだけ世の中のニーズが多様化した中でも、一向にそれを変えようともせず、結局産業界からも人材育成についての苦言を呈せられるようになっていることでも分かるように、結局今に至っては、誰も欲しがらないような人材を育ていることになってしまっているように思われ、感性の豊かな子どもたちはそういうモノに対して拒否反応を示して、ある意味当たり前なのかも知れません。

 

 にも関わらず、親の世代はまだまだ旧来的な価値観に縛られていることが多く、それが故にこどもが深刻な精神疾患に陥ったり、家庭崩壊につながるケースも多いということで、決定的に子どもをスポイルしてしまうことにもなり、そこまで行かなくても子どもが持っているいろんな意味での才能を損なってしまっていることが多いようです。

 

 ということで、子どもが学校に行きたくないということに対して冷静に対処すべきだということなのですが、その安心材料としてこれだけの取組があるんだということを知っておいた方がいいんじゃないかと思います。

 

 子どもが自分で自分の進む道を見つけられるようなサポートをしている教育施設も多く、むしろフツーの学校に行くよりもいいんじゃないのか!?とすら思ってしまいます。

 

 こういうのを読むと、行政の取組が…とワタクシなども思うのですが、逆に行政があまりドップリと絡まない方がいいんじゃないかとこの本を読んでいると思えてきて、かなり教育行政という意味では転換をすることが喫緊の課題となっていることを痛感させられます。