帰ってきた生協の白石さん/白石昌則

 

 

 2005年に出版された『生協の白石さん』が、大学生協の「ひとことカード」に書かれた質問や要望に対する白石さんの暖かくもユーモアやウィットに富んだ回答が大きな話題となりましたが、今年4月にこの本が出版されていたと知って手に取ってみました。

 

 最早白石さんは東京農工大生協にお勤めではないのですが、現役の学生と白石さんの農工大生協在勤当時に大学生だった人たちからの質問に答えるという2部構成となっています。

 

 令和の学生の質問への白石さんの回答の中で一番キレがあったなぁ、と思うのは、「夏日、真夏日猛暑日、さらには酷暑日まで。次は何になるのでしょう?」という質問に対し、「きわめて高い確率で、やがて秋になるかと思われます。」と答えられたモノです。

 

 その他、生協在勤当時も生協に対する要望や質問と全く関係のない恋愛相談などもあったようですが、結構そういうムチャ振りにもキレのある回答を返されていたのが印象的でしたが、令和の学生への回答には未だにキレが感じられました。

 

 それに対して、あの頃の学生への回答については、回答自体よりも質問にあまりオモシロいモノが少なく、フツーに人生相談的なモノとなってしまって、白石さんも持ち味のキレのある切り返しをする余地がないように思われ、あれって、質問のオモシロさもあっての回答のオモシロさだったんだなぁ…と思うと同時に、やっぱりオジさんになると面白さもかけてしまうんだろうか…と多少自虐的になってしまう部分も無きにしも非ずでした…

 

 そんな中で平成の学生への回答で面白かったのが、「テレワークの午前中、『東京卍リベンジャーズ』の最新刊まで読みました。最高です。昼食を挟んで、午後は何を読んだら良いでしょうか。」との質問に対して白石さんは「そうですね。まずはご自身のため、職場の空気を読んでくださいませ。」と答えられているのが真骨頂だな!?と思いませんか…

 

 今の殺伐とした世の中にこそ、白石さんのような癒し系でありながら、時に鋭く、深い回答をくれる相談相手が必要なのかもしれません…